万一に備えるための〜保険の相続対策
万一に備えるための〜保険の相続対策
文書作成日:2020/08/05


 生命保険の受取人が「法定相続人」である場合、受取人と受取額はどのようになるのでしょうか。




 先日、父が亡くなりました。
 父が生前に加入していた生命保険契約を確認したところ、以下のような内容でした。
 保険金は、誰がどのように受け取ればよいのでしょうか?

  1. 保険の内容
    • 保険種類:終身保険
    • 死亡保険金額:1,000万円
    • 契約者(保険料負担者):父
    • 被保険者:父
    • 保険金受取人:法定相続人
  2. 家族構成:父(死亡)、母、長男(相談者)、二男
  3. 父の相続における法定相続人:母、長男、二男の3名




 お父様死亡時における法定相続人が、各々法定相続分の割合で保険金を受け取ることになります。


 今回のご契約は、最高裁判所の判例(※1)により、以下の通り死亡保険金を受け取ることになります。

1.誰が受取人となるのか?

 生命保険は、契約時に契約者が特定の人を受取人に指定するのが一般的です。

 しかし、契約者と被保険者が同じ契約で、特定の人が指定されず、受取人が「法定相続人」となっていた場合、死亡時における被保険者の法定相続人が受取人となります。

 よって、今回の場合、お父様の法定相続人である、お母様、お子様2名(長男、二男)の3名が、死亡保険金を受け取ることになります。

 ただし、ご契約生命保険の約款により、受取人の順位が定められている場合は、約款指定の順位に従い受け取ることになります。

2.受け取る配分は?

 死亡時に被保険者の法定相続人が複数名いる場合、特段の事情がない限り、各保険金受取人が受け取るべき権利割合は、法定相続分の割合になります。

【今回のケース】
  • 死亡保険金の受取人になる人:母、長男、二男(3名)
  • 各人の保険金受取額
    • 母 :500万円…1,000万円×1/2(※2)
    • 長男:250万円…1,000万円×1/4(※2)
    • 二男:250万円…1,000万円×1/4(※2)

 また、相続人であるため、相続税における生命保険の非課税枠も適用できます。

3.相続を放棄した場合でも保険金を受け取ることはできるか?

 受取人が法定相続人となっている場合でも、保険金請求権は、保険契約の効力発生(死亡時) と同時に、受取人である相続人の固有財産とみなされるため、被保険者の相続財産とはならず、 今回の相続人が、相続放棄をした場合でも、死亡保険金を受け取ることができます。

 ただし、相続税における生命保険の非課税枠は適用できません。

4.注意点

 生命保険の死亡保険金は、受取人の固有財産とみなされるため、基本的には遺産分割協議の対象外となります。

 受取人が法定相続人となっている場合、相続時に権利者となる人の特定が複雑になる、請求時の手続き書類が煩雑になる場合があります。

 相続人同士のトラブルに発展する可能性もありますので、可能な限り特定の人を受取人に指定しておく方がよいでしょう。

(※1)最高裁第三小法廷 昭和40年2月2日、最高裁第二小法廷 平成6年7月18日

(※2)法定相続人が配偶者と子である場合の法定相続分の割合
  • 配偶者…1/2
  • 子…1/2(複数人いる場合には、1/2を均等に分割)


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